ビジネスの世界では、時に「1+1」が「3」にも「5」にもなる瞬間があります。
単体では価値が低くても、複数組み合わせることで商品の魅力が高まることがあります。
俳句、コレクターズカード、レシピ集…。
これらはすべて、「複数化」という魔法によって価値を増幅させてきた成功事例です。
AIの進化はこの「複数化」戦略に新たな可能性をもたらしています。
デジタルコンテンツ、ハンドメイド作品、コンサルティングサービス…。
AIは、あらゆる分野で「複数化」を促進し、これまで想像もできなかった価値を創造する力を秘めているのです。

複数化とは
ここでいう「複数化」とは、
「単品ではなく、複数セットで販売する」
という戦略です。
複数にすることで、売りやすくなることが往々にしてあります。
<俳句>
評判のよい俳人が生み出した俳句の力作が、もし単品で売られていたとしましょう。
「俳句1個あたり、100円です」
俳句が趣味な人は、これを買うでしょうか?
もちろん、やってみないとわからない面もありますが、直感的には「買わない」のではないでしょうか。
1つの俳句だけでは、商品として見られにくいからです。
しかし、それが何十と集まって「俳句集」になったら?
詩が好きな人だったら、商品価値があると感じるでしょう。
実際、俳句は単品ではなく、俳句集として売られています。
これが「複数化」の力です。
<コレクターズカード>
1枚のコレクターズカードはそれほど価値がないかもしれません。
しかし、それが100枚集まったコレクションとなれば、途端に価値が跳ね上がります。
「なんでも鑑定団」のような番組では、ときにこういうコメントが出ます。
「全部そろっていたら、すごい値段になったはずなんですけどね。残念です」
パーツだけあっても、じゅうぶんな価値にならないということです。
<料理のレシピ>
料理レシピにも同様なことが言えます。
自分の作ったレシピを公開できるプラットフォームがいろいろ存在しますが、そこに出品されているたいがいのレシピは、無料です。
レシピは、単品で購入される性質のものではないからでしょう。
ところが、複数セットになると話が違ってきます。
実際、シェフや料理研究家のレシピは、「レシピ集」として販売されています。
複数化の活用とメリット
どのように「複数化」を活用できるでしょうか。
いくつかの例を見てみます。
- デジタルコンテンツの販売:単品の記事や動画では、それほど高い価格設定はできないかもしれませんが、それらを複数集めて「シリーズ」や「コース」として提供すれば、高額商品として売り出せる可能性があります。
- ハンドメイド製品:1つの手作りアクセサリーではなく、複数のアクセサリーを組み合わせたコレクションとして販売することで、付加価値を生み出せるかもしれません。
- コンサルティングサービス:1回の相談では解決できない問題も、複数回のセッションをパッケージ化することで、より包括的なサービスとして提供できるでしょう。
- 食品:単品の食品や調味料ではなく、複数の素材をセットにした「料理キット」として販売することで、より高い価値が生まれます。
「複数化」戦略には、いくつかの明確なメリットがあります。
- 価格設定の柔軟性:複数のアイテムをまとめることで、単品よりも高い価格設定がしやすくなります。
- 顧客満足度の向上:複数のアイテムが揃っていることで、顧客のニーズをより幅広くカバーできます。
- 差別化:競合他者が単品販売にこだわっている場合、複数化された商品を提供することは、差別化につながります。
- リピート購入の促進:例えば、コレクションものの場合、顧客側に全アイテムを揃えたくなる心理が働きます。
- ブランド構築:複数のアイテムをまとめて提供することで、ブランドイメージを構築できるでしょう。
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あなたのビジネスにおいて「複数化」できる要素はありますか?
単品では気づかれにくかった価値を、複数の要素を組み合わせることでより魅力的な形で提供できないか、ときには考えてみましょう。

複数化をAIが後押し!
AIを活用することで、これまでとは違った形で商品やサービスを複数化し、新たな価値を創造できる可能性があります。
AI技術の進化により、デジタルコンテンツの複数化は、より簡単で効果的なものになりました。
たとえば、あなたがブログ記事を複数作成している場合、それらを単にまとめるだけでなく、インハウスAIに分析させてみましょう。
すると、AIは記事の内容を理解し、読者の興味関心に基づいて最適な順番に並べ替えたり、関連性の高い記事をグループ化して「テーマ別パッケージ」として提案したりしてくれます。
さらに、各記事に補足情報を加えたり、関連するFAQを作成したりすることで、より価値の高いコンテンツに生まれ変わります。
ハンドメイド作品を販売している方であれば、AIを活用して作品の写真を魅力的に加工したり、商品のストーリーを伝える商品説明文を生成したりすることができます。
複数の作品を組み合わせた「コレクション」を販売する際、AIはそれぞれの作品のストーリーを関連付け、顧客に響くような「物語」を創り出すことも可能です。
コンサルティングサービスを提供している方であれば、AIを活用して過去の顧客事例を分析し、類型化することで、より効果的なサービスパッケージを設計できます。
たとえば、「新規事業立ち上げ支援パッケージ」や「マーケティング戦略策定パッケージ」といった形で、複数のコンサルティングサービスを組み合わせることで、顧客のニーズに合わせた包括的な支援が可能になります。
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AIは、従来の「複数化」の概念を拡張し、新たな可能性も生み出します。
顧客一人ひとりに合わせた「パーソナライズされた複数化」です。
たとえば、あなたが健康食品を販売している場合、AIを活用して顧客の健康状態や生活習慣を分析し、その人に最適なサプリメントの組み合わせを提案することができます。
あるいは、学習塾を運営している方であれば、AIが生徒の得意・不得意を分析し、最適な教材の組み合わせを提案する。
そんな「パーソナライズされた複数化」が可能になります。
さらに、AIを活用することで、これまで「複数化」が難しかった分野にも、新しい可能性が生まれます。
たとえば、カウンセリングサービス。
従来は1回ごとのセッションが主流でしたが、AIを活用することで、カウンセリングと並行して、顧客の心理状態を分析し、それに合わせたセルフケアプログラムを提案する。
そんな「複数化」が可能になります。
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AIは、ビジネスにおける「複数化戦略」をより強力な武器に変えます。
単なる効率化や自動化だけでなく、人間の創造性や顧客への共感を高めるためのツールとしてのAI活用です。
AIをパートナーとして、あなたのビジネスにおける「複数化」の可能性を考えてみませんか?