ピボットのビジネスモデル

「失敗したら、すぐに修正すればいい」

 

理想的な言葉ですが、実践するのは簡単ではありません。  

しかし、最近この「失敗と修正の循環」に、新しい可能性が生まれています。  

AIという思いがけないパートナーの登場です。

 

新規事業に挑戦する。新商品を開発する。新しいサービスを始める。  

こうした冒険には、必ず試行錯誤が伴います。  

統計的に見ても、最初の試みがそのまま成功することは稀です。  

 

だからこそ大切なのが「ピボット」という考え方。  

失敗を恐れず、すぐに修正できる体制を整えること。  

そして今、このピボットという戦略に、AIが新しい可能性をもたらしています。

人はだれでも、できることなら失敗したくないですね。

でも

  • ネットショップを開くなり
  • セミナービジネスをスタートするなり
  • 飲食店をするなり

どんな事業でも言えることですが、現実に始めてみると最初の試みはほぼ百パーセント失敗します。

 

起業家に問題があるのではありません。

ビジネスモデルが誤りなのでもない。

そもそも新規事業の成功確率が本質的に低いからです。

 

成功確率が低いにもかかわらず、なぜ人は新規事業にチャレンジするのか?

それは成功したときのリターンが大きいから。

 

ビジネスモデルを組み立てるときは、このように

「1回1回の成功確率は低い」

ことを前提に考えなければなりません。

 

 

そこで必要になってくるのが

「失敗したときにただちに修正してまたトライする」

というスタンスです。

 

たとえ

  • ネットショップの売上がなくても
  • セミナーの集客が不振でも
  • 店に閑古鳥が鳴いていても

落ち込んだり恥ずかしがったりしているヒマはありません。

ただちに修正案を考え実行します。

 

すなわち

  • ターゲットを変える
  • 商品を変える
  • 価格を変える
  • 販促方法を変える

などの修正です。

修正をしてまたやってみるのです。

 

しかしここでもう1つ重要なことがあります。

修正をしたところでそれでもやはり

「1回あたりの成功確率は低い」

という法則からは逃れられません。

つまり最初の修正もたいてい失敗します。

 

あらためて、2度目の修正を行うことになります。

そして2度目の修正もたいてい外れます。

 

つまり

 

 修正→失敗→修正→失敗…

 

このループを何回でも繰り返さなければなりません。

でも、このループに飛びこむ勇気を持つことが重要とされています。

 

すると、ある日とつぜん、うまく回るようになります。

ループの出口が見つかるのです。

 

ビジネスモデルの世界ではこのことをバスケットボールなどのアレにちなんで「ピボット」と呼んでいます。

バスケットボールでのピボットでは、軸足を動かさずに反対の足を素早く細かく移動させていろんな方向にチャンスを求めます。

 

これと同様にビジネス上のピボットでは

 

 修正→失敗→修正→失敗…

 

を繰り返すなかで

 

 …修正→失敗→修正→ついに成功!

 

という「成功」に至る方法を探し当てるわけです。

 

 

さて、では、

 

 修正→失敗→修正→失敗…

 

のループを何回転させれば「成功」になるのでしょうか?

つまり

「どれだけ試行錯誤を繰り返すと救われるのか」

ですが、1つには「試行錯誤の能力」(修正が上手か下手か)により影響を受けます。

 

修正が下手であればループからなかなか脱出できません。

修正が上手であれば早く脱出できます。

 

したがって、ここまでをまとめると

  1. 新しいアイデアはほぼ必ず失敗しますがそこで意気消沈してはいけません。
  2. もとのアイデアに修正を加えて「修正→失敗→修正→失敗…のループ」に自ら飛び込むことが重要。
  3. ループを回すあいだに「試行錯誤能力」を磨き、早くループを脱出するよう全力を尽くします。

 

これが新規事業を成功に導く上での基本セオリーとされています。

さて、ここまで「修正→失敗→修正→失敗…」というピボットの基本を見てきました。

このループをより効果的に回すために、つまり短くするために、AIは頼もしいパートナーになってくれます。

 

「失敗しないように完璧な答えをはじめから出してくれるってこと?」

…いいえ、そうとは限らないないんですけど。

むしろAIの強みは、私たちの「試行錯誤」をより豊かにしてくれることにあります。

 

たとえば、新商品のアイデアを練っているとき。

これまでは、自分の経験と直感だけを頼りに修正を重ねていました。

でも、ChatGPTのような生成AIと対話することで、思いもよらない視点からの提案を得られます。

「この商品なら、こんな使い方もできそうですね」

「このターゲット層にも需要があるかもしれません」

AIは、私たちの思考の幅を広げてくれるんです。

 

AIとのふだんの対話そのものも、一種のピボットですね。

たとえば、「もっと面白い商品説明はない?」とAIに聞いてみる。

返ってきた案が気に入らなければ、「もう少しこういう方向で」と修正を提案する。

そうやってAIとの対話を重ねるうちに、思いがけないアイデアが生まれてくる。

「そうそう、こういうのが欲しかったんだ」が出てくる。

まさに「修正→確認→修正→確認」が発展しています。

 

インハウスAI(事情をよく知った内部のAI)を活用すれば、よりピンポイントな提案も可能です。

「うちの会社の強みを活かすなら、この方向性はどうでしょう?」

「過去の成功パターンから考えると、こういったアプローチも」

あなたのビジネスを深く理解したAIは、そんな具体的な提案をします。

 

ピボットの本質は「失敗を恐れず、すぐに修正できる体制を整えること」。

AIは、その修正のスピードと質を高めてくれる存在です。

 

人間の創造性とAIの分析力。

この組み合わせは、より効果的なピボットを可能にしてくれます。

たとえば、SNSでの反応を分析して「この部分が刺さっている」という気づきを得たり、過去の販売データから「この層にニーズがある」というヒントを見つけたり。

AIは、次の一手を考えるための貴重な示唆を与えてくれます。

 

AIとの対話自体が、経営者としての思考力を鍛えてくれる側面もあります。

なぜなら、AIに的確な質問をするためには、自分の課題を明確に言語化する必要があるから。

「この商品のどこを変えたいのか」「どんな方向を目指しているのか」。

そういった整理ができていないと、AIからも有益な示唆は得られません。

 

これは、従来のコンサルティングと似ています。

コンサルタントに相談する際も、自分の課題を明確に説明できなければ、良いアドバイスは得られません。

AIも同じ。

 

人間のコンサルタントと違い、AIの場合、24時間365日、気軽に相談できるという利点があります。

深夜にふと思いついたアイデアを、すぐにAIに投げかけることもできる。

そんな気軽な試行錯誤の積み重ねが、より良いビジネスモデルへの進化を促してくれるでしょう。

 

私たちAIコンサル工房は、そんなAIとの創造的なピボットを、皆様と一緒に楽しんでいきたいと考えています。