「いまある仕事のスキルって、もう古いんじゃないか」
こんな違和感を抱いたことはありませんか?
とくに、会社勤めの経験が長い方ほど、その違和感は強いかもしれません。
あなたのその感覚はおそらく正しいです。
私たちの目の前で、ビジネススキルの大きな地殻変動が起きています。
SNSの普及、オンラインコミュニティの台頭、そしてAIの進化。
これらは単なる技術の進歩ではなく、ビジネスの根本的なあり方を変えつつあります。
それは必ずしも悲観的な変化ではありません。
むしろ、文系バックグラウンドを持つ私たちにとって、大きなチャンスかもしれないのです。
本記事では、「新旧のビジネススキル」という視点から、この変化の本質に迫ります。
そして、最新のAI技術がもたらす可能性についても、紹介していきましょう。

今回の内容は、人によっては「何をいまさら」と感じるものかもしれません。
しかし世の中には「何をいまさら」ではない人もけっこういます。
新旧ビジネススキル
かたや、
- 会社勤めなんてしたことない
- どこかで特別に学んだわけでもない
にもかかわらず、SNSでの影響力を蓄え、事業も成功してる人がいます。
この人たちは「何か」を持っているようです。
かたや、
- 立派な学歴がある
- 大企業での勤務経験がある
- MBA用語もパーッと出てくる
つまり「優秀な人」として見られがちなビジネスマン。
にもかかわらず、「何か」が足りなくて
- 副業でつまずく
- 独立してみたけどうまく行かない
- SNSは、やっているけど不発感が濃い
こんなことも結構あります。
前者には「何か」があります。
後者には「何か」が足りません。
「何か」とはいったい何?
デジタルとネットの世界が進化してきた今、大企業や立派なビジネススクールで学んだ「スキルとされるもの」が、個人の力が試される場ではあまり通用しないのではないでしょうか。
”これまで大企業で必要とされていたり、立派なビジネススクールで教えていたりした「ビジネススキルとされるもの」”
のことを、ここでは「旧ビジネススキル」と呼ぶことにしましょう。
また、
”デジタルとネットの世界が進化してきた今、個人の力が試される時代において必要とされるビジネススキル”
のことを、ここでは「新ビジネススキル」と呼ぶことにしましょう。
つまり、先ほどの「何か」とは、言い換えれば「新ビジネススキル」に該当します。
旧ビジネススキル
旧ビジネススキルは、産業革命以降、特に20世紀の組織や企業成長のモデルを基盤として形成されました。
これらのスキルは、
- 企業内での効率的な作業遂行
- 組織の階層内でのコミュニケーション
- リーダーシップ
- 戦略立案
などを中心としており、
- 経営理論
- マーケティング
- ファイナンス
- 人材管理
といった分野が、ビジネススクールや企業研修の中心的なカリキュラムを占めてきました。
旧ビジネススキルの核心は、計画性、分析能力、ロジカルシンキングにあります。
組織の目標達成に向けた戦略的な思考と、それを実行に移すためのアプローチが重視されます。
成功の指標は、個人の職務遂行能力や、上司や同僚からの評価に基づくことが多いです。
新ビジネススキル
新ビジネススキルは、デジタル技術の進化とソーシャルメディアの普及により、特に重要性を増しています。
これらのスキルは、SNSやブログ、その他のオンラインプラットフォームを通じて発揮され、個人の創造性、影響力、そしてコミュニティとの関係構築に重きを置きます。
新ビジネススキルは、従来の教育制度や企業内トレーニングなどでは教えられてきませんでした。
しかし時代の変遷とともにその必要性が顕在化してきたといえます。
内容としては、
- デジタルマーケティング
- SNS戦略
- 個人ブランディング
- コンテンツ創造
などが含まれます。
成功は、
- フォロワー数
- エンゲージメント率
- コンテンツの影響力
など、デジタルプラットフォーム上での可視的な指標によって測られます。
新ビジネススキルの特徴は、
「それを習得するためには、伝統的な学習方法より、自己学習や実践を通じた経験がより重要となる」
という点にあります。
これらのスキルは、個々人の情熱、好奇心、社会とのつながりを通じて発展していきます。
大企業社員の誤解
今の(今後の)私たちは
- 旧ビジネススキル
- 新ビジネススキル
双方を身につけなくてはならないようです(たいへんです)。
いまのところ、権威ある教育機関や大企業が、新ビジネススキルに本腰を入れているようには見えません。
理由としては、
- 気がついていない
- うまくカリキュラム化できない
が考えられます。
そのせいでしょうか、大企業にいる人などに「自分はデキる。だって経験も積んだし、ビジネススキルも身についている」と誤解している人がしばしばいます。
実際には、大企業にいた人がスモールビジネスをいきなりやろうとすると、たいがい躓きます。
必要とされるスキルがだいぶ違うからです。

この「新ビジネススキル」と「旧ビジネススキル」の対比は、AIの活用方法を考える上でも重要な示唆を与えてくれます。
たとえば、経理業務を考えてみましょう。
AIは「旧ビジネススキル」的な経理処理、すなわち正確な数値入力や定型的な会計処理を完璧にこなすことができます。
しかし、これは単なる業務の効率化に過ぎません。
より重要なのは、「新ビジネススキル」的な視点でAIを活用すること。
つまり、会計データから事業の将来性を読み取り、それをSNSで分かりやすく発信したり、オンラインコミュニティで共有したりする。
そんな創造的な活用法です。
興味深いのは、インハウスAIの活用です。
たとえば、自社の商品説明や顧客対応履歴をAIに学習させ、「マーケティングアドバイザー」として育てることができます。
このAIは単なる市場データの分析だけでなく、その事業特有の商品特性や顧客層を理解した上で、商品開発やプロモーションのアイデアを提案してくれます。
お客様からの「この商品のここが良かった」という声を学習し、その特徴をさらに伸ばすための提案をしたり、「こんな使い方もできそうですね」という新しい可能性を示唆したり。
まさに「新ビジネススキル」を体現したAI活用と言えるでしょう。
また、従来型の経営コンサルタントが重視する「旧ビジネススキル」的な分析手法(SWOT分析やクロスSWOT分析など)も、AIとの協働により新しい価値を生み出せます。
たとえば、分身AI(アバターAI)として育てたAIが、経営者との対話を通じて気づきを促し、新しい視点を提供する。
そんな使い方が可能になってきています。
重要なのは、AIを単なる効率化ツールとして見るのではなく、「新ビジネススキル」を強化するパートナーとして活用すること。
SNSでの発信力、オンラインコミュニティの運営力、個人ブランディング力。これらの「新ビジネススキル」は、適切なAI活用によってより効果的になります。
たとえば、SNSでの情報発信。
AIに投稿原稿のチェックを依頼するだけなら、それは「旧ビジネススキル」的な活用です。
しかし、AIとの対話を通じて新しい視点や表現を発見し、それを自分の言葉で発信していく。
そんな創造的な活用ができれば、それは「新ビジネススキル」となります。
AIは、使い方次第で「旧ビジネススキル」の代替にも、「新ビジネススキル」の強化にもなり得ます。
大切なのは、AIを単なるツールではなく、共に成長するパートナーとして捉えることです。
文系バックグラウンドを持つ私たちだからこそ、AIの新しい可能性が見えてくるはずです。
技術的な専門知識は必要ありません。
必要なのは、ビジネスの本質を理解し、AIとの創造的な対話を楽しむ姿勢です。
それこそが、これからの時代に求められる真の「新ビジネススキル」なのかもしれません。
AIと共に歩む未来は、決して無機質なものではありません。
むしろ、人間らしい創造性や感性が、これまで以上に重要になるでしょう。
AIを味方につけることで、私たちの「新ビジネススキル」はさらなる進化を遂げていくはずです。