コレクター探しのビジネスモデル

「この商品を買った人は、こんな商品も買っています」

 

通販サイトでよく目にするこの表示、実はビジネスのヒントの宝庫かもしれません。

今回は、この何気ない表示から見えてくる「コレクター」の存在と、そこに潜むビジネスチャンスについて考えてみましょう。


最近では生成AIを活用することで、より効果的にコレクター層を見つけ出せるようになっています。

従来の分析方法と最新のAI活用を組み合わせることで、小規模ビジネスならではの、新しいビジネスの可能性が見えてきます。

あなたのビジネスにも応用できるヒントを見つけていただければと思います。

「何かを集めた」経験はありますか?

筆者は子どもの頃に

  • いろんなボトルのフタ
  • キーホルダー
  • メンコ

を集めていた記憶があります。

 

なぜフタなんかを集めたのか、動機はさっぱり思い出せません。

キーホルダーについては、家族旅行で行った先々で、その地のキーホルダーを親に買ってもらい、自分で作った専用の木箱にしまっていました。

メンコは勝負をして勝ったら相手のメンコをもらえるのですが、けっこう強かったので、戦利品として集めていました。

いずれも、とくに執着をもって集めていたわけではありません。

 

しかし、人によっては、収集することが執着となり、やがてはこだわりをもって「丁寧な保管」「凝った分類」をはじめるようになります。

そうなれば、「コレクター」の領域ですね。

 

 

さて、通販サイトなどで商品を見ていると、

「この商品を買った人は、こういう商品も購入しています」

がしばしば案内されますね。

レコメンド機能というやつです。

 

たとえば手帳の場合、

  • カレンダー
  • パスケース

などが紹介されます。

 

家電製品、たとえば掃除機の場合、

  • テレビ
  • 冷蔵庫
  • 洗濯機

などがあわせて表示されます。

あと、電子レンジとか。

新生活つながりなのでしょうね。

 

で、掃除機のページに表示されたテレビをクリックすると、今度はテレビのページで

  • 掃除機
  • 冷蔵庫
  • 洗濯機
  • 電子レンジ

などがレコメンドされます。

 

ところが、ラジオの場合はちょっと様相が異なるようです。

 

 

ラジオの場合、

「この商品を買った人は、こういう商品も購入しています」

のところに、他のラジオが出てきます。

いくつも表示されます。

 

家電製品ではそんなレコメンドは滅多にみかけません。

「この掃除機を買った人は、この掃除機も買ってます」

は、ふつう無いです。

掃除機を2つも3つも買うことはまずないからです。

 

ところがラジオだと、異なるラジオを一緒に買う人がけっこういるらしい。

なので、

「このラジオを買った人は、このラジオも買ってます」

が成り立つ。

 

このことから読み取れるのは、

「ラジオにはコレクターがいる」

ということではないでしょうか。

世の中には、ラジオのコレクターが、少なくない数で存在しているようです。

 

 

つまり通販サイトは

「コレクター発見器」

にも使えるんじゃないかということ。

 

世の中にどんなコレクターがいるのか。

どういう分野に「コレクター」がいるのか。

通販サイトの自動表示から読み取ることができるんじゃないでしょうかね。

 

そして、コレクターが存在する領域では、ビジネスを作りやすい。

だれもまだ気づかない領域があれば、なおさらです。

こういうところにもビジネスのヒントが隠れているかもしれません。

さて、ここでAIの力を借りると、このコレクター探しの作業がさらに面白くなります。

 

ChatGPTなどの生成AIに「この商品のコレクターはいそうですか?」と尋ねてみると、意外な発見があります。

AIは膨大なデータを基に、人々の収集傾向を分析してくれるんですね。

 

先日、あるクライアントと一緒にこの実験をしてみました。

クライアントは手作りの革小物を販売している方で、「自分の商品にコレクターがつくだろうか」という興味から、AIとの対話を始めました。

 

すると面白いことに、AIは「革小物それ自体というより、特定のクラフトマンの作品を集めるコレクターが存在する可能性が高い」という示唆を与えてくれたのです。

つまり、商品そのものではなく、作り手の個性やストーリーにコレクターが魅力を感じる、という洞察です。

 

これは大きな気づきでした。

 

 

さらにAIは、SNSでのハッシュタグの使われ方を分析することで、潜在的なコレクター層を見つける方法も提案してくれました。

たとえば「#職人の技」「#一点もの」といったタグの使われ方から、コレクター的な趣味を持つ人々の行動パターンが見えてくるそうです。

 

インハウスAI(事情をよく知っている内部のAI)を使えば、もっと踏み込んだ分析も可能です。

たとえば自社の顧客データベースをAIに学習させることで、「この商品を2回以上購入している顧客」「関連商品を定期的に購入している顧客」といった切り口で、潜在的なコレクター層を見つけることができます。

 

AIは単なるデータ分析だけでなく、コレクターの心理も理解してくれます。

先日のクライアントは、AIとの対話を通じて「コレクターは単に物を集めているのではなく、物語を集めているのかもしれない」という気づきを得ました。

 

 

このように、コレクター層の発見と理解には、AIが強力な助けになります。

ただし、最終的な判断は人間の直感に委ねる必要があります。

AIの分析はあくまでもヒントであって、そこから先は私たち人間の創造力で、具体的なビジネスプランを組み立てていく必要があるでしょう。

 

スモールビジネスだからこそ、顧客一人一人の物語に寄り添えます。

AIの分析力と、人間ならではの感性を組み合わせることで、新しいビジネスの可能性が見えてくるのではないでしょうか。

 

コレクターのいる市場は、確かにビジネスチャンスの宝庫です。

AIという新しい目を得た今、あなたの商品やサービスの周辺に、まだ見ぬコレクター層が潜んでいるかもしれません。

それを探してみる価値は、十分にありそうです。