「AIを使えば仕事がラクになる」
そんな声をよく聞きます。
ある意味、その通りなんですが、でも、ちょっと待ってください。
本当にそうでしょうか?
先日、ChatGPT教室で、ある受講生さんとこんな会話をしました…。

「先生、AIを使えば文章作成の手間が省けるって聞いたんですが、実際どうなんでしょう。ブログ記事とか、AIに任せちゃっていいものなんですか?」
「面白い質問ですね。確かにAIは文章を書いてくれます。でも、『だからラクになる』というのは、実は早計かもしれません。AI、AIと騒がしい私が言うのも変ですが(笑)」
「ですね(笑)。でも、どういうことですか?」
「例えばAIにブログ記事を書かせる場合を考えてみましょう。普通のプロンプト、つまり『○○についての記事を書いてください』という簡単な指示を出すと、どこかで読んだことがあるような、平凡な記事しか生まれません」
「あー、私も試してみましたが、なんだか物足りない感じの文章が出てきました。よくある感じの」
「プロンプトを工夫すればいくらでも良い記事が書けます。ただ、プロンプトの工夫が必要になります。これが結構、脳のエネルギーを消費する」
「なるほど。AIに良い指示を出すのって、頭使いますよね」
「さらに、AIが書いた記事はチェックしないといけません。これも頭を使う作業です。つまり、『自分で記事を書く労力』は減ったけれど、代わりに『AIに良い指示を出すための労力』と『AIの出力をチェックする労力』が生まれた、ということです」
「ゼロサムですか? じゃあ、結局AIなんて使わないほうがいいってことですか?」

「いえいえ、全然ゼロサムじゃないですよ。むしろ私は、『AIに思い通りの記事を書かせるためのプロンプトを考える』という作業のほうが、『自分で記事を書く』より断然面白いと感じています。圧倒的に、プロンプトを考えるほうが面白いですね」
「面白い?」
「ええ。たとえば、イルカのショーを思い浮かべてください。イルカの役をAIに任せて、私たちはイルカのトレーナーになる。それってイルカ側になることより面白くないですか? 少なくとも私の個人的な好みはそうですね」
「確かに、AIをうまく使いこなせるようになっていく過程って、トレーナーみたいですね」
「それに、いいプロンプトができあがると、それを応用して次々と新しい記事が作れます。キーワードを変えるだけで、かなり幅広く違う記事が生まれる」
「レバレッジが効くってことですね!」
「レバレッジ! それそれ。レバレッジです。最初は苦労するかもしれませんが、イルカとトレーナーが意気投合すれば、イルカはちょっとした合図でいろんな芸を見せてくれる。いい感じでアドリブもする。そこまでいけば、確かにAIは私たちの人生をラクにしてくれます。ただし、それは『効率化のための道具』としてではなく、『共に創造するパートナー』としてAIと向き合った先にある景色かもしれません」
「AIとの付き合い方が少し分かった気がします。最初からラクを求めるんじゃなくて、一緒に成長していく感覚ですね」
「AIと付き合うということは、これまで無かった新しいスキルを身につけることでもあります。それは『ラク』というのとはちょっと違うかもしれません。でも、面白い。そして、面白いと感じられれば、それはもう苦労とは呼べないものになっているんじゃないでしょうかね」
皆さんも、AIを「効率化の道具」としてだけでなく、「共に創造するパートナー」として見てみませんか?
きっと、新しい発見があるはずです。